事業承継の相談、税理士は無料でどこに頼める?

同業の先生から「うちも承継を考え始めた」という話を聞いて、少し気になっている。でも、自分はまだ何も決めていない——そんな状態ではないでしょうか。

事業承継の相談を税理士が無料でできる場所は、実はいくつかあります。ただ「どこに相談すれば損しないのか」「売り込まれないか」という不安が先に立つのも当然です。

この記事では、売却を勧めることも急かすこともしません。「まだ決めていない段階」の先生が、安心して話を聞いてもらえる窓口の種類と選び方を、一緒に整理していきます。

税理士が「自分の事務所の承継」を相談するのは、なぜ難しいのか

三者面談のイラスト

顧問先・職員への影響が気になって、身近に相談できない

先生が事業承継を考え始めたとしても、気軽に周囲へ話せるものではありません。

税理士業界は横のつながりが密接です。「あの先生、事務所を手放すらしい」という話が広まれば、顧問先が不安を感じることもあります。職員の雇用にも関わる話ですから、慎重になるのは当然です。

だからこそ、事務所の外にある中立的な相談先が必要になります。身近な人に話せないからといって、一人で抱え込む必要はありません。

「まだ決めていない段階」で相談していいのか、という迷い

「まだ売るとも決めていないのに、相談してもいいのだろうか」と感じる先生は多いようです。

相談窓口に連絡したら、そのまま売却の話に持ち込まれるのではないか。そんな不安もあるかもしれません。しかし、多くの相談窓口は「情報収集だけ」の段階でも利用できます。

むしろ、まだ決めていない段階だからこそ、選択肢を整理する価値があります。選択肢が見えると、「今は動かない」という判断にも自信が持てるようになります。

無料で相談できる窓口は大きく4種類ある

「事業承継 相談 無料」と検索すると、さまざまな窓口が出てきます。ここでは、税理士事務所の承継に関係する主な相談先を4つに分類して整理します。

相談先の種類と特徴

相談先 費用 特徴 向いている人
事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関) 無料 中立・秘密保持あり・士業案件対応実績あり まずフラットに話したい人
M&A仲介会社 着手金なし〜あり(成功報酬型が多い) 買い手マッチングに強い・スピード感あり 具体的な売却先を探し始めたい人
士業専門のFA・アドバイザー 相談のみなら無料が多い 士業案件の事情に詳しい 士業固有の事情をわかってほしい人
同業者ネットワーク・業界団体 無料〜会費程度 実体験ベースの情報が得られる 先輩事例を聞きたい人

ひとつ注意しておきたいのは、「無料相談」の範囲が窓口によって異なることです。初回だけ無料の場合、電話相談のみ無料の場合など、定義はさまざまです。後ほど、この点についても触れます。

エナウトパートナーズでも、税理士事務所の事業承継について無料でご相談を受け付けています。「何を相談すればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。詳しくはこちら

公的機関が「最初の一歩」に向いている理由

事業承継・引継ぎ支援センターは、国が設置した公的な相談窓口です。全国47都道府県に設置されており、士業事務所の承継相談にも対応実績があります。

この窓口が「最初の一歩」に向いている理由は3つあります。

  • 秘密保持の仕組みがある: 相談内容が業界内に漏れる心配が少ない
  • 売り込みがない: 中立的な立場で情報提供をしてくれる
  • 「まだ決めていない」段階を歓迎している: 情報収集だけでも利用可能

先生にとって大切なのは、「話を聞いてもらえる場所がある」と知ることではないでしょうか。公的機関は、その安心感を提供してくれます。

相談先を選ぶ前に確認したい5つのポイント

どの窓口に連絡するか迷ったとき、以下のチェックリストが判断材料になります。

相談先選びのチェックリスト

  • 士業事務所の承継相談を専門に扱った実績があるか
  • 秘密保持について明示的な説明があるか
  • 「まだ決めていない」段階でも話を聞いてもらえると確認できるか
  • 初回相談が無料か、費用が発生するタイミングを事前に聞けるか
  • 担当者が士業特有の事情(顧問先・職員・守秘義務)を理解していそうか

3つ以上確認できたら、話を聞いてみる価値があります。

すべてが完璧な窓口を探す必要はありません。まずは1か所に連絡してみて、感触を確かめるだけでも前に進めます。

「無料」の範囲を事前に確認しておく理由

「無料相談」と書かれていても、その中身は窓口ごとに異なります。

たとえば、初回の面談のみ無料で、2回目以降は有料というケースがあります。電話やオンラインでの相談は無料でも、対面は有料という場合もあります。また、M&A仲介会社の多くは「成功報酬型」をうたっていますが、着手金やリテイナーフィー(月額の顧問料)が別途かかることもあります。

事前に確認しておきたい質問はシンプルです。「今日の相談で費用は発生しますか?」——この一言を最初に聞くだけで、安心して話を進められます。

相談前に整理しておくと話がスムーズになること

「決めていないこと」をそのまま伝えていい

相談の場で、すべてを整理してから臨む必要はありません。

「まだ何も決まっていない」という状態は、むしろ出発点です。「今どういう気持ちか」「何が不安か」——それを言葉にするだけで、相談は十分に始められます。

相談相手に求めるのは、答えを出してもらうことではなく、一緒に考えてもらうことです。決まっていないことは、そのまま伝えてください。

持っておくと話が深まる情報の例

必須ではありませんが、以下の情報があると相談がスムーズに進みます。

  • 事務所の概要: 職員数、顧問先数のおおまかな規模感
  • 承継のイメージ: M&A、後継者育成、廃業——どれも選択肢に入れているか
  • 時間軸の感覚: 5年後、10年後、特に決めていない、など
  • 気になっていること: 顧問先への影響、職員の処遇、自分の今後

これらは「ないと相談できない」ものではありません。「あると話が早い」くらいの気持ちでご準備ください。

士業ならではの悩み

顧問先への影響をどう考えればいいか

「顧問先に迷惑をかけたくない」という気持ちは、先生が長年築いてきた信頼関係の裏返しです。その不安は、とても正当なものです。

実際の承継では、引き継ぎ期間を設けて段階的に移行するケースが一般的です。日本税理士会連合会の税理士実態調査によると、税理士の60歳以上の割合は約50%にのぼります。業界全体で承継が増えているからこそ、引き継ぎのノウハウも蓄積されてきています。

「顧問先への影響を最小化したい」という希望は、最初の相談時点から遠慮なく伝えてください。それを前提に話を進めてくれる窓口を選ぶことが大切です。

守秘義務・業界内の口コミリスクへの対処

税理士業界は、良くも悪くも情報が伝わりやすい世界です。「承継を考えている」という話が広まることへの心配は、多くの先生が感じています。

対処法としては、まず相談先の情報管理体制を確認することです。公的機関であれば、相談内容の秘密保持について明確なルールがあります。

また、「名前を出さずに概要だけ話す」という選択肢もあります。最初の相談では事務所名を伏せたまま、一般的な話として相談することも可能です。匿名で話を聞いてもらえるかどうかを、最初に確認してみてください。

まとめ

事業承継について「まだ決めていない段階」で相談することは、まったく早くありません。むしろ、選択肢が広いうちに話を聞いてもらうことで、納得のいく判断ができるようになります。

  • まず公的機関(事業承継・引継ぎ支援センター)に相談すれば、無料・中立・秘密保持の環境で話ができる
  • チェックリストで相談先を比較し、自分に合う窓口を選ぶ
  • 「決めていない」ことをそのまま伝えるだけで、相談は始められる

一人で考え続けるより、誰かに話を聞いてもらうほうが、気持ちが整理されることもあります。先生のペースで、無理なく進めていただければと思います。


まずは、話すだけでも構いません。

事業承継は「相談するかどうか」の前に、「何をどこまで話してよいのかわからない」という方がほとんどです。

エナウトパートナーズでは、M&A・後継者問題・資産整理など、税理士事務所の承継にまつわるお悩みを、無料でお聞きしています。

「まだ先の話かもしれないけれど」「具体的な案件はないけれど」、そんな段階でも歓迎しています。一緒に整理するところから始めましょう。

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